vol.18

使えるインクの増やし方

こんにちは、グラニフ生産管理部のNです。

Tシャツにプリントする際、マシーンによっては使える色の数が制限されることがあります。今回はそんなときに便利な「ウェットオン」という手法について、こちらのTシャツを例にご紹介します。

フォーキャッツ|長袖Tシャツ
ザフォーキャッツフェイス|Tシャツ

ウェットオンとは

シルクスクリーンでは、1色1色を刷る間にヒーターで乾燥させることでインクを定着させています。基本的には、1色刷って乾燥、1色刷って乾燥、の繰り返しが最もインクが安定します。

しかしそうすると、マシーンによっては使える色数などに制限が出てきてしまいます。その対策として、「ウェットオン=インクが乾いていない状態で次の色を刷る手法」を使い、使える色数を増やしていきます。

ウェットオンの色ぶれ対策

基本的に、ウェットオンでプリントするインクは色ぶれが起きやすいため、なるべく面積の少ない色を選びます。面積が広いと次に刷る版にインクを持っていかれてしまい、通常よりも色が薄くなってしまうのです。

ベースの白基本色のC・M・Y・K広い面積で使われている色など、全体の中でも特に安定させたい重要な色では、できるだけウェットオンは使用せずヒーターを使うようにしています。

こちらの2枚は同じキャラクターに同じ黄色のインクを使用しています。

先に発売した長袖Tシャツと同じ色でTシャツもプリントしましたが、色数の都合でウェットオンにしたため色が微妙に違ってしまいました。

先に発売した長袖Tシャツ(ヒーター有り)
長袖Tシャツと同じ黄色インクを使用(ウェットオン)

そこで、刷り上がりを確認してから再度、先に発売した商品に合わせて調色をし直します。

これで色が合いました!

先に発売した長袖Tシャツ(ヒーター有り)
調色後のインクを使用(ウェットオン)

ウェットオンは混色もできる

ここまで、ウェットオンのメリットとして「ヒーターの回数を減らし、使える色数を増やせること」、デメリットとして「ヒーターのタイミングによって色ぶれが起きること」を紹介してきましたが、ウェットオンにはもう一つ特徴があります。

ウェット(湿った)状態で色をオンする(載せる)ことで、色を混ぜることができるのです。

通常、隣接している色にヒーターを入れずウェットオンで刷ると汚くなるので避けますが、こちらの商品では敢えて赤と黄色を混ぜてオレンジを作りました。

この特徴も、色数の足りない場合は助かりますね!

Tシャツに刷ったもの
分色データ

同じインク、同じ版でもちょっとした技術で色が変化するって面白いですね!

ではまた次回のプリントマニアで。